民家から離れ、だんだん道も細くなっていく。
昼間だし、相手は蒼汰さんだし
危険なことは無いって思っているけれど、自分が知らない場所ってだけで
ほんの少し不安がよぎる。
「着いたよ」
そこは岩場の一部が洞窟のようになっていて、大人一人が入れるくらいの
穴が開いていた。
蒼汰さんは一度私を振り返り、奥へと入っていく。
「手、怪我しないように気を付けて」
「はい」
凸凹した足場と手元に気を付けながら、先に進む。
暫くして洞窟を抜けると、そこはプライベートビーチのように
開けた、小さな砂場。
私達の他は誰もいなかった。
「ここ、俺と湊叶の秘密の場所」

