「さ。店主の許可も出たし、行こう」
「え……あ、はい」
蒼汰さんの手に引かれながら、私は後ろの二人が気になりながらも
その場を後にした。
正直なところ助かったかもしれない。
湊叶さんの事は、凄く気になるけれど
あのまま、あの二人を見ていられる自信がなかったから。
手を繋いだまま、無言で海沿いの道を歩いて行く。
「あの、どこまで行くんですか?」
「もうすぐだから」
さっきから、ずっとこの調子。
行き先を聞いても「秘密」とだけ言って
いたずらっ子のような笑みを浮かべるだけ。
何処に行くつもりなんだろう。
この先は、岩場しかない筈なんだけど――。

