あの人、アヤさんって言うんだ。
湊叶さんの、彼女かな――。
でも湊叶さんの顔、嬉しそうに見えないんだけど……どうして。
二人って、どういう関係なの?
あれ……なんか、見てるのヤダ。
胸の辺りが、チクチクする。なんで――。
「……ちゃん……さちゃん……つばさちゃん?」
私を呼ぶ小さな声が、だんだんはっきりと聞こえてくる。
何回、呼んでくれていたんだろう。
「え、あ……はい?」
「顔色、悪いけど……大丈夫?」
私の顔を覗き込み、心配した表情を浮かべる蒼汰さん。
なにか話しかけてくれてたのかな、全然記憶にない。
「す、すみません……えっと、なんですか?」
慌てて笑顔をむけるものの、蒼汰さんの顔は曇ったまま。

