きっとコイツもいろいろ思うところがあるんだと思う。

だけど蒼汰は何も言わないし、何も聞いてこない。


五年前、俺が東京から帰って来た時も

三年前、この家を改築してCaféをしたいって言った時も

蒼汰は何も言わず力を貸してくれた。



「……ゴメン」



今回の事も、きっと蒼汰なりに気を遣ってくれている。

普段は、恥ずかしくて言葉になんて出来ないけれど

きっと蒼汰がいなけりゃ、今の俺も

この店も無かった筈だ。

感謝してる。この一言に尽きる。



「分かればよろしい。じゃ、俺行くわ」



ふっと、背中に掛かっていた重みがなくなり

そのまま俺は、畳の上に大の字になって倒れた。