本当は、ぼんやりとだけど覚えている。
だけど彼女に言うと、笑われそうだから言わない。
つばさは残念そうに溜息を吐いて、俺の胸に顔を埋めた。
正夢になるといいな。
つばさと、いつか出来る俺たちの子供。
もしあの光景が実現したら、夢に見ていたことを
笑って彼女に話すことが出来るかもしれない。
「つばさ」
「ん?なぁに」
「一緒に、幸せになろうな」
「うん」
彼女の額に、唇を寄せてキスをひとつ落とした。
“約束”の意味を込めて――。
それは
ある夏の、穏やかなひと時の出来事だった。
【終わり】
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