まさか、あの少年は未来の俺たちの子供だったり――。
バカバカしい。
あー、夏の暑さのせいで可笑しくなったのかな。
まだ俺たちは結婚もしていない。
なのに、子供なんてまだ先の話だ。
そんな先の夢を見てしまうなんて……どれだけ俺、浮かれてるんだろう。
不意に彼女の腕を引っ張って、抱き寄せた。
小さな声と共に、胸の中に倒れ込んでくる彼女の体。
「み、湊叶さん?」
「隙あり」
もう、と頬を膨らまし俺の胸を小さく叩き抗議してくる。
けれどそれすら、可愛くて愛しい。
「ちょっと、夢を見てた」
「どんな?」
「……覚えてない」

