でも、不思議だ。 さっきの声は、間違いなく――。 「つばさ?」 「湊叶さん。風邪ひいちゃいますよ?」 近づいてきた女性――やっぱり、つばさだ。 少し大人びて見えるけれどでも、顔が逆光で見えない。 どうして……。 つばさは、俺の傍に座り団扇で風を送ってくれる。 彼女の顔に触れたくて、手を伸ばす。 「どうしたの?もしかして、寝ぼけてる?」 クスクス笑う、彼女の声。 けれど俺の手を振り払うことなく 自分の手を添えて、頬を摺り寄せてくる。