「行ってらっしゃい」 大きな手を私の頭に乗せて、クシャクシャと髪を掻き撫でた。 「はい。行ってきます」 乱れた髪を手串で直しつつ元気に笑う。 湊叶さんには、私の笑った顔を忘れないで欲しいから。 私が、大学を卒業し帰ってくるまで……。