胸に押し付けられたままだから、くぐもって聞える声。 湊叶さんの匂い、温かさ、鼓動……彼の全てが私を安心させてくれる。 「病気とか怪我とか気を付けろよ」 「うん」 心配する気持ちが伝わってきて、彼の背中に腕を回し 隙間が埋まるように抱き付く。 「優しくされても、すぐに信用するなよ?」 「うん」 あれ……なんか、変じゃない? 我が子を“初めてのおつかい”に出すよな――。 「知らない人に、付いて行くなよ?」 やっぱり……。 湊叶さんったら、まるでお父さんだ。