数時間後―― 「湊叶さん、来週から夏休みなんですよ」 営業時間が終わって、片づけもあらかた終わった頃 カウンター越しに声を掛けた。 「だから?」 前髪を触られまいと警戒しているのか 顔は上げずに、視線だけをチラリを向ける。 「私、部活もしてないし。暇なんですよね」 「そう」 もう、なんでこの人は口下手って言うか、口数少ないの。 ていうか、夏休みって言った時点で分かってよ。 「夏休みなんだ。だったら、毎日来れるね」 隣から、天の助け。 ナイス蒼汰さん。