資格をとったとしても、あくまでも通信教育講座。
実力って訳じゃない。
この講座で勉強したものが、どこまで生かせるか。
専門店でどの程度通用するのかを試してみたいと。
「わ、わざわざ東京に行かなくても専門店なら地元にもあるんじゃないの?なぁ、湊叶」
驚きを隠せない感じの蒼汰さんに比べ、湊叶さんは黙ったまま何も言わない。
何かを考えているのか、それとも私にさほど興味がないのか。
「別に、東京って決めたわけじゃなくて。両親には、大学は行けって言われてるし……それに、私の成績次第ってところもあって……」
去年の学年末の試験は、本当にヤバかった。
資格のほうに充填を置いていたから、なおさら学校の勉強はおざなりになっていて
なんとか追試は免れたけど、赤点ギリギリだった。
「本気で勉強したいなら、いいと思うぞ……ごちそうさん」
飲み終わったのか、短くそう言うと流しにコップを置いて奥に入ってしまった。

