やったー!
湊叶さんに、美味しいって言ってもらえた。
それだけで半年、頑張った甲斐があったというもの。
「良かったぁ。不味いって言われたら、どうしようかと思った」
ホッと胸を撫で下ろし、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「そんなの言うわけないでしょ。なぁ、湊叶」
「まぁ、実際美味かったし。問題ないだろ?」
湊叶さんは、そう言ってまた一口飲んでいく。
好きな人に自分の淹れたコーヒーが美味しいって言って貰えるのって
こんなに嬉しいものなんだ。
もっともっと、喜んでもらいたい。
「私。小さくてもいいから、いつかお店ができたらいいなって思うようになったんです。でも、やっぱり知識だけじゃ足りないって部分もあって。だから、高校卒業したら上京しようかと考えてるんです」
年を越した頃から考えていた。

