「そんな事って……」
瀬戸は、震える声と手を抑えるように
口元に両手を押し当て、涙を浮かべている。
蒼汰に至っては、顔を壁側に向けているせいでどんな顔をしているのか分からない。
だけど、何もしゃべる気配はない。
「そのまま彼女は精神病院に連れていかれ、処置室の前であった彼女の両親には、もう二度と彼女の前には現れないでくれ、と言われたよ」
目の前が、ガラガラと音を立てて崩れていくのが見えた気がした。
失意と絶望で、どうでもよくなった俺は店を辞め
この島に、逃げ帰った。
その頃、実家から祖父が倒れたと聞いていたし
今まで忙しくて、帰れなかった分親孝行しようと思ったのもあるけれど。
結局、帰って来ても何も手が付けられずに過ぎていく日々。
眠っても、あの光景が目に焼き付いて忘れさせてくれない。
後悔と失望で、未来なんて見えなかった――。

