*-*-*
「絢は、俺の事を……恋人でも同僚でもなく、自分の地位を脅かす存在として見ていた」
全ては俺が招いたこと。
忙しさにかまけ、彼女の異変に気付かなかった。
彼女がことあるごとに酒ににげていたことも。俺を避けていたことも――。
「ある日の閉店後、それは起きてしまった」
閉店した店内。片づけを行う数名のスタッフ。
その中で、ふらふらとした足取りで近づく人影。
俺が振り返ると、そこには自分のハサミを振り上げ今にも襲い掛かろうとする絢の姿。
その顔は、今まで見たことが無いくらい鬼のような形相だった。
彼女が犯罪者になる前に、まわりのスタッフが取り押さえたから良かったものの
あのままだったら、俺は絢のハサミを受けて死んでいたかもしれない。
恐ろしさと、彼女をそこまで追い込んだのが自分だと言うこと
震えが止まらなかった。

