「そのためには、まだまだ未熟だと思って……もっと美容師として一人前になりたくて、腕も技術も知名度も上げたかったんだ」
「そういう真面目なところは、変わらないな」
月明かりに浮かぶ蒼汰さんの顔は、とても優しく微笑んでいる。
そんな彼に「話の腰を折るなら、出て行け」と睨み付ける湊叶さん。
「美容師免許を取った翌年、オーナーからコンテストに出てみないかって言われた」
絢さんに相応しい男になりたい、その一心で
ひたすらヘアスタイルやアレンジなどの勉強を、寝る間を惜しんで費やしていた日々。
そんな中、不意に訪れた自分の実力を試すことのできるコンテストの参加。
その機会を逃すなんて、その時の湊叶さんには出来なかった。
今の実力と全国のスタイリストの技術を、自分の目で見てみたい。
その思いを絢さんに話すと、すごく喜んでくれていたらしい。

