『昼過ぎに、つばさちゃんらしき子が綺麗な女の人と一緒に美術館のほうへ向かったらしいってさ』
くそっ、やっぱり瀬戸は島を出ていないのか。
なにを考えてるんだ。
『なぁ、湊叶。その綺麗な女の人って……絢さんって人なのか?』
「まだ分からない。だけど、多分――」
十中八九、絢だろう。
思いたくはないけれど、崖から落ちたのも絢が――。
もしそうなら、俺の所為だ。
やっぱり、俺に関わるとろくなことにならない。
瀬戸……無事でいてくれ。
昼過ぎに二人で美術館に来たなら、次は何処へ行く?
この周辺で、絢が行きそうな場所――。
考えろ……彼女の好きそうな場所。
思い出せ、絢の言葉一つ一つを。
昔、二人で話したことを――。

