「え、絢さッ……危なっ!!」
慌てた絢さんは、ぬかるんだ道に足を取られてズルッと体が傾いていく。
それはまるでスローモーションのようで、私は彼女の手を掴むために
手を伸ばし一歩踏み出した。
お願い、届いて――。
その瞬間、彼女の手が私の手を払い除け
ふっと口角が上げ微笑んだ。
え――どうして……。
そう思っている間にも、彼女の体はどんどん崖に吸い込まれていく。
「ッ、絢さん!!」
名前を叫んだと同時に、地面を蹴り出す。
どうしたい、とか考える暇なく体が自然と動いていた。
絢さんは一瞬、驚いたように目を見開いたけれど
直ぐに覚悟を決めたように、閉じてしまう。
諦めるな。届けぇー!!

