「絢さん。前を見て歩かないと危ないですよ?」
山道だけれど、反対側は沢になっているのか崖だ。
ガードレールとないから、一歩間違えば真っ逆さま。
気を付けなくちゃと思うのに、絢さんは聞こえているのかいないのか
生返事をして、まだ手元の地図と睨めっこしている。
もう、どっちか年上なんだか。
まさか道に迷った、とか?
こんなところで迷子とか、嫌だなぁ。
少し前の分かれ道で間違ったのかもしれないし
一旦、戻った方がいいかもしれない。
「絢さん、戻りませんか?いくらなんでも、こんなに人通りも少なくて整備もされてないのおかしいです」
「うん。そうだね……キャッ。く、蜘蛛っ!!嫌ぁ!!!」
下を向き地図に気を取られていた絢さんは
木の枝からぶら下がっていた蜘蛛に気付かず
あわや顔面衝突。
すんでのところで立ち止まり、目の前に突然現れた蜘蛛にビックリして
道を外れて、崖の方へ――。

