「なんとなく、スッキリした顔してるから」
スッキリしてる?――もし、そう見えるなら
きっと、絢とちゃんと話が出来たからかもしれない。
納得してくれたかどうかは分からないけれど、絢は絢の新しい人生を
歩んで行ってくれたらと思う。
「……そうか?気のせいじゃないか」
「ふ~ん……じゃ、これよろしく。中に舌平目が入ってるからムニエルにでもして、つばさちゃんに食べさせてあげて」
片手でクーラーボックスを軽々と持ち上げ、押し付ける蒼汰。
俺は右手にマナガツオを持っていたから、それを落とさないように
体全体を使ってクーラーボックスを受け止めた。
「わ、重っ……って、お前知って――」
「この島で、俺の知らないことは無いの。じゃ、後でな」
してやったり顔の蒼汰は、親父さんに声を掛けると船尾に移動していく。
ゆっくりと岸から離れていく舟。
それを見ながら、俺は溜息を吐いた。
まったく、蒼汰のやつには敵わないな……。
クーラーボックスに、マナガツオを入れて右肩に担ぎなおす。
さぁ、店に戻ろう。

