テンポラリー・ジョブ

知恵が風呂から出てきた。
冷蔵庫からペットボトルのミネラルウオーターを取り出した。

「いい湯かげんだったよ。大ちゃんも入ってきたら」
知恵は、ペットボトルを一口飲んで言った。

「・・・」
大輔から返事がなかった。

知恵が大輔の横に座った。

「お風呂、入らないの? 」
「うん・・・」
大輔は、どっちつかずの返事をした。

「大ちゃん、聞いているの! 」
知恵が大きな声で言った。

「ごめん。考えごとしていて」

「松崎支配人からの仕事の誘いのこと考えていたんでしょう」
知恵の言ったことは図星だった。

「なぁ、知恵、どう思う。俺、知恵がやっている仕事、できると思うかな? 」
大輔が不安そうに言った。

「それは、どんな仕事も不向きはあると思うけど、最後はやる気じゃないかな」
「やっぱり、そうだな」
大輔は納得するように言った。

「でも、大ちゃん、どうして、松崎支配人から誘われても、すぐに断わらなかったの?」

「・・・」
大輔は黙ったままだった。