テンポラリー・ジョブ

「どうぞ」
ダイニングテーブルに座った松崎に、大輔がコーヒーを差し出した。

「ありがとう」
松崎はスーツ姿で仕事の帰りだった。

知恵が差し向かえに座った。
大輔はキッチンでかたづけをしていた。

「どうしたんですか?」
知恵が尋ねた。

松崎が、二人の住居を訪ねるのは初めてだった。
そして、どんな用事なのかわからなかった。

「実は、夕方、白石さんが来館しました」
「えっ! 雅夫さんが? 」

「知恵ちゃんを訪ねてきたんだが、休みだったんで、自分が接客しました」

「それで、雅夫さんが何か?」
知恵は、結婚のキャンセルかと心配して尋ねた。

「ここで、結婚式をしたいんで、松井さんによろしくお願いしますと、言っていました」                     
松崎が知恵に笑顔で言った。

「そうですか! 良かった!!」
知恵が喜んで言った。

「しかし、どうして、急に結婚式をしようと思ったのかしらん。あんなに拒んでいたのに」
知恵が松崎に尋ねた。

「大輔君の一言が決めてになったみたいですよ」
松崎の言葉に大輔も反応して、食器を洗っている手が止まった。

「俺のひと言!?」
大輔も気になって、知恵の横の椅子に座った。