「えっ! 三ヶ月・・・?」
「おめでとうございます。胎児も順調に育っていますよ」

突然の医師の言葉に、知恵は、思わず不思議な驚きだった。

年配の看護師が知恵に『出産までの過し方』と書いてある資料を渡した。

「今度の検診までに、しっかりこれをよく読んでおいて下さい」
「・・・」

「これからは胎児のことも考えて出産までの期間は、ご主人にも協力してもらうように お願いして下さい」

「はい・・・」
知恵は、医師の言葉を素直に聞き入れた。



「三ヶ月だって・・・」
知恵は産婦人科を出るなり、車に入り携帯電話で真美に連絡をした。

「やったね! おめでとう」
真美は興奮した様子で祝福してくれた。

「それで、大輔さんには連絡したの?」
「いえ、まだだけど・・・」

「病院に行くことは、大輔さんには話していなかったの?」
「昨日、帰りが遅かったから」

「そう・・・じゃ、今夜、報告ね」
「うん・・・」

「ねえ、知恵、あまり嬉しそうな感じゃないみたいだけど」
「実は、ちょっと拍子ぬけした感じ・・・」

「知恵、どうかしたの? そうだ、午後から知恵も会社でしょう」
「そうだけど」

「私、もう少ししたら、司会打ち合わせで、そっちに行くから、そのことは、また後で 話しましょう」
「うん、わかった」

知恵は、電話を終えて車で会社に向かった。