「着いたはいいが、これ車から降りれるか?ずぶ濡れになるぞ。」
と直人。
本当にすごい雨だ。
俺はふと窓の外をみた──。
………………。
人魚だ……。
人魚の噴水に、本物の人魚が……。
大雨に打たれ、噴水の縁に腰掛ける女性に、俺は心を奪われずっと見つめていた。
「直人!てめぇ何言ってんだよ〜。焼肉が待ってんだから、走るぞ!ちと濡れるくらい平気だっつの!なぁ冬也!」
「……………。」
「おーい!冬也!と・う・や・くーん!」
「──っんぁ!?…あぁ。」
「……ん?あの女の子、こんな雨の中何やってるんだろうな。」
直人も気付いたようで、俺に話かけてきた。
雨の中、淡いグリーンのワンピースを纏い、顔を上げ目を閉じている彼女。
俺には、太陽の光を求めて海面から顔を出した人魚に見えたんだ──…。
「あぁっ!?男と喧嘩でもしたんだろーよ!
んなことより早く行こうぜ焼肉〜。腹へったっつ〜のぉ…。」
「はいはいわかった。冬也、行くぞ。」
「……おぅ。走るか。」
俺達は焼肉屋へと走った。
