それは、大雨の日のことだった──。




「くっそ〜!また負けだよぉ〜。」


「俺も。まじツイてねぇよ〜。冬也は?」



「んー…と、2万勝ち♪」


今日は、中学のときからの同級生で
いつもの連れ、和馬と直人とパチンコに行っていた。




「ちょっ、ずりーぞ!冬也だけ勝ちなんて!」


金髪にピアス、そしてチビ。
一見やんちゃそうなこいつが岩本和馬。




「へへっ♪俺だけいい思いしちゃって悪いね〜♪」



「じゃ、勝った冬也くんに何奢ってもらおうかな〜。」


黒髪パーマで細身なこいつが崎田直人。
クールだけど腹黒いヤツだ。




「おっ、いいね〜♪冬也の奢りで焼き肉だ〜っ!」


「げっ!まじかよ〜。」



そして俺が和久井冬也。22歳。
この物語の主人公で、外見も中身も、全てにおいて至って普通…だと思う。