甘い彼。

「ふー、疲れたー」


家に帰り、リビングで一息。


「皆さんコーヒー淹れましょうか?」


「お願いしてもいい?」


奏さん…皆いるのね。


「ふー…楽しかったなぁ…」


ふと自分の腕を見ると、


遊園地のマスコットキャラクターの飾りがついたブレスレットが。


「このブレスレットいっぱいに飾りがついたら…ちょっとは甘えられてるかな」


そんな言葉が皆に届くわけもない。


私の言葉は静かに消えていった。


「あ、できた、皆さんコーヒー出来ましたよ〜」


「ありがとなー桃羽ちゃん!」


「いえいえ!」


にしても、皆目立ってたなぁ…。


この人達に釣り合う子になりたい。


なーんて、無理かなぁ。


「桃、おいで」


ソファに座っている奏さんが自分の膝をぽんぽんと叩きながら私を呼ぶ。


これは…膝の上においでの合図。


何も言わずにすっと奏さんの膝の上に座る。


と、なんだか眠くなってきた。


「眠たいなら寝てもいいよ桃、風呂は朝入ればいい」


頭を撫でながらそう言うから、


私は安心してそのまま眠りについた…。