甘い彼。

「んぐっ…ひょ、ひょうしゃん!?」


顔をむぎゅっと挟まれる。


「どうしてレストランで俺達が帰ってきたとき暗かったの?」


「え?な、なんでもないですよ」


「嘘はダーメ」


…奏さんには敵わないだろうなぁ。


「…羽澟の幹部であるリクが働いてて…裏切り者とか色々言われたんです」


「…ごめんね、楽しい思い出にしようとしたのに」


「そんな!!とっても楽しかったですよ?今日1日夢みたいで」


ほんとに…夢みたいで…。


「ずっとずっと…楽しくて…」


「そっか…ならよかったよ」


あ…戻った。


優しくて穏やかな奏さんの顔に。


「うわぁ…ライトアップされてる…」


「ほんとだ…綺麗だね」


「はい!綺麗です…とっても」


「写真撮っておこう」


ケータイを取り出して写真を撮る奏さん。


ちらっと横を見てみる。


奏さんは切なそうに笑っている。


どうして…?


私が奏さんを覚えてないのと関係があるの…?


どこで…、

どこで奏さんと出会ったの…?