甘い彼。

「さぁ、乗ろうか桃」


大きな観覧車。


手を差し出してくれる奏さん。


その手を掴んで観覧車に乗る。


「わっ!」


「っと、危ない危ない」


「ありがとうございます奏さん」


バランスを崩した私を支えてくれる。


行ってらっしゃいとクルーさんに見送ってもらって奏さんと2人きりに。


「わー…綺麗…」


「そうだね…桃」


「なんですか?」


「……俺のこと、覚えてない?」


奏さんの…こと…?


「覚えてない…か、気にしなくても良いんだよ」


「奏さん…?」


「ん?あ、ほらパレードがもう始まってる、外暗いし綺麗だよ」


「…そうですね、綺麗です、とても」


気になる…。


奏さんの悲しそうな顔が。


会ったことがある…?


どこで…?


「桃、気にしなくていいんだよ」


そっと立ち上がって隣に座る奏さん。


頭をぽんぽんとして写真を撮る。


「それより桃」


名前を呼ばれて奏さんの方を向くと…。