印堂 丈一郎の不可解な生活

何度も言うようだけど、丈一郎の調息でベナルは倒せない。

威力不足だし、今以上の強力な調息を、丈一郎は練り出せない。

にもかかわらず。

「放せっ!」

ベナルは慌てて丈一郎を振り解いた。

彼の調息なんて、大した脅威にはならない筈なのに。

「コイツは…俺の攻撃を受けても恐れる事なく反撃のチャンスと受け取るコイツは…只の人間には無い底力がある。何という勇気、その勇気こそが、どんな使い手よりも脅威となる」

人間が本能的に恐れを抱いてしまう闇、化け物、不死の存在、強大な悪。

それらに対して、丈一郎は敢然と立ち向かうだけの勇気を潜在的に持っている。

それは修行や修練、努力だけでは決して培えない固有の資質。

言うなれば選ばれし者だけが持ち得る『黄金の魂』。

ベナルは丈一郎をそう見ていた。