「どうしたセシル」

私の姿を見て、サーは薄笑みを浮かべる。

「絶望したか?この俺が生き残っていた事で。自由になれぬと再認識して希望を失くしたか?」

「いえ…」

私は緩々と首を横に振る。

「サーの眷属になった時から…私から自由は失われたと自覚しています。今更サーから逃れられるとは思っていません」

「嘘をつくな。『敗北すればよかった』と…そう思っているのだろう?」

瓦礫を踏み越え、進むサー。

咢が護衛のように付き従う。

「だが俺は丈一郎に殺される事なく、こうして両の足で立っている。残念だったな」