青の世界

「──っ!…誰だ…?!」



突然聴こえてきた男とも女とも分からない声


部屋中に響くみたいな、二重音声のような奇妙な声だった



だが、見渡す限り誰もいない



…じゃあ一体誰が───




「…まさか」



そういえば今…

前から聴こえなかったか…?



てことは…



「こいつ…?」



俺は再び、それに目をやった



その瞬間、それは“頭”を上に向けた



───“目が合った”。



『はじめまして あちらから、の らいきゃくしゃ ヨ。』


口の動きや、視線の先が見えなくても分かる



間違いなく、話しているのはこいつだ。




─────てか…


怖いって!!



おれはその声に答えることなく部屋を飛び出した



『…やはり あちらの せかい、の ものだ ナ。』



家を出て、行きに来た道のりを逆走した



「…何なんだよさっきの…てか何か言ってたよな…あちらーとか、何とかワールドとか…」



俺に語り掛けてきたってことは分かった。


でも、その内容が理解できなかった



「…とにかく、早く現実に戻らないと気持ち悪くて仕方ないっての。」



俺がため息をついた時、同時に激しい頭痛がした



そして声が聴こえた。



『さわがし イ…。』



さっきの、あの声だ。