青の世界

俺は走り出した



早く帰って、自分の部屋で寝る。



…起きた頃には元に戻ってんだろ…


(また元の河原だけど)




遊歩道を横切り、小さな商店街を駆け抜けた。



その先の、チラホラと見え始めた家々の数軒奥にある、一軒家



「…ハァッ…勢いよ…すぎた……」


…我が家までの道のりが、こんなにも苦しいとは…。



──中に入ろうと、青いドアノブに手を掛けた


が、すぐに離した。



…そういえば…


ここに来るまで、人一人にも会わなかった…。



子供たちが集う遊歩道横の公園からも


いつもなら賑わっているはずの商店街にも



人の姿…ましてや声すら聞こえてこなかった




俺はそれを疑問に思いつつ、再びドアノブを握り回した



カチャ



「ただいまー…」



外には車があった



でも、中には誰もいない。



「…母さん…?」



洗濯物もベランダに干したままだ


俺はベランダに出て、それらを取り込む。



「うわっこれ…気に入ってたのにー…マジ最悪だし…」



お気に入りだったTシャツも、青一色になってしまえばどれも同じ



「…まぁ、夢だからな。夢!別に実際こんななったんじゃな…っ───ハァ…。」



…早く醒めないかな…こんな夢



こんな、悪夢…。