青の世界

キラキラ光る青


流れる水


長く続く川



…毎日眺めているこの景色の先には


何があるのだろう…?



そういえばいつも、この場所からこの範囲しか見ていない



数歩先に架かる橋の上から見ても、限られている“遠く”




…この水の行き着く場所は、どれだけ広大なものなのだろう




───ふと感じただけなのに、自分の眼で確かめたくて



川の流れに沿って歩き出していた。



「…もうこんな時間。後場怒ってるかなー…」



マイペースに流れる川


それよりもゆっくりに歩く俺



「…。」




歩いても歩いても“先”がある



──住宅街をとうに過ぎ、日暮に近付くように紅く染まり始める空



緑葉から虫の声が響き、段々とそれが大きくなる


大きく───…




「…っ?」



…止んだ…?


今の今まで耳に残るほど喚いていた虫たちが、ピタッと静かになった



「?…何でっ───」



…いや、止まったのは虫の声だけではない



ザワつかない木々


少しも吹かない風



そして───



「うっ…そ…」



流れない川