青の世界

───パシャッ



「あぁーっママーっ!クーちゃんがぁーっ」



子供の叫び声に驚き、振り返ると川をプカプカ流れるクマのぬいぐるみが。



「うわーんっ!クーちゃんンーっ!!」


「もぅ…何でちゃんと持ってないのー」



…いや、早く取らないと本当にどっか行っちゃうって。



「…~~~っ」



見かねた俺は、河原の坂道を下り川に入った



そして流れてきたぬいぐるみを掴み、「はいっ」と子供に渡した




「ありがとぉ寝てるお兄ちゃんっ」


「こらっ!…すみません本当に…制服まで濡らしてしまって」



「いえ大丈夫です、このくらい」



ズボンの下部からは水が滴っていた


…あ~ぁ…最悪…。



「…あれ?」



裾を見ていたら、視界に川と共に流れる光り物が入った



「お兄ちゃんバイバーイ」


「本当にありがとうございました」



「えっちょ…」



…あれ、あの子のじゃないのか?



「…」



───俺は、それを追いかけた



軽量の物らしく、流れに乗るのが速い


…走っても追いつく気配がない。



「…ハァッ…もうちょい…

!───石…?」




やっとその物の姿を捉えたと思いきや



それは流水に光が反射しただけの、ただの石だった



「…何やってんだ?俺…

石なんて追いかけて…」




取り越し苦労


さっきと、今と。



「…今度はマジで寝ようかなー」