花言葉

「なーんだ。俊のこと海に落とそうと思ってたのに」

「残念だったな」

夕香と宮内くんは早くも自分たちの世界だった。

私と優翔は、ふたりから少し離れたところを歩いていた。

「海なんていつぶりだろ」

「あー、あんま行かねぇよな」

「お前さ、昔海来たとき溺れかけたの覚えてる?」

「覚えてるよー、あのとき優翔、めちゃめちゃ焦ってたよね」

「そうそう。お前、死んじゃうんじゃないかって思った」

「殺すな」

優翔とふたり、こんな風にまた笑って話せるとは思ってなかった。

ついこの前までは。

こんな風に話して、笑って、冗談言い合って、それだけなのに。相手が優翔だというだけで、こんなにも幸せな気持ちになれる。

こんな時間がずっと続いてほしい。


「海に入ってる奴ら、寒くねーのかな」

「優翔も入ってみる?」

「遠慮するわ。お前入れよ」

「嫌だよ」