花言葉

二時間目のあとの休み時間。2組の私のところに4組である及川愁がやってきた。

愁とは小学校から一緒で、そんなに頻繁に話しているわけでもないが、こうして教科書を借りにくることがたまにある。


私は、廊下にあるロッカーに世界史の教科書を取りにいった。


「はいよ」


「ありがと」


「5時間目には返してね」


「はいよ、了解」


私は、そのまま愁が教室に帰ると思い、教室に戻ろうとした。


「千絵」


戻ろうとした私の背後から、愁が声を掛けてきた。


「何?」


「あのさ、あの、岡本樹とうまくいってんの?」


「え?あ、うん。まぁ」


あまりにも急だったから、少し歯切れの悪い返事になってしまった。

確かに私は岡本くんのことで色々悩んではいるが、それは岡本くんとは関係のないこと、というか、岡本くんに非があるわけではなく、私自身の問題だ。

要は、自分に自信がないから不安になってしまうのだ。