「いないよ」
「ふーん、そうなんだ。女子は優翔みたいなのが好きなのかと思ってた」
“女子は優翔みたいなのが好き”
菅原くんは、特に気にしないで言ったのかもしれない。
でも、“女子は”とひとくくりにされたのが腹立たしかった。
私は、優翔を顔で好きになったんじゃない。
“ぼくはずっと、のぞみちゃんのそばにいるよ”
そんな8年も前の口約束をバカみたいに信じてた。
ずっと、好きだったんだ。
**
今日はいつもよりも少し早く家を出た。そのせいか、学校はすごく静かで、人があまりいなかった。
教室に入っていくと、中には優翔がひとりいた。
私は優翔を一瞥してから自分の席に座った。
ほんの少し、目が合った。
「藤田サン」
誰かが私を呼んだ。誰か、いや、分かってる。この教室には、私と君しかいない。
私はほんの少し首を後ろにまわした。
「ねぇ、数学の宿題やった?」
「やりましたけど」
「見せてよ。今日15日だから当たるんだよね」
優翔はこっちに向かって歩いてくる。
そして、私の手からノートを取って席に戻っていった。
「ふーん、そうなんだ。女子は優翔みたいなのが好きなのかと思ってた」
“女子は優翔みたいなのが好き”
菅原くんは、特に気にしないで言ったのかもしれない。
でも、“女子は”とひとくくりにされたのが腹立たしかった。
私は、優翔を顔で好きになったんじゃない。
“ぼくはずっと、のぞみちゃんのそばにいるよ”
そんな8年も前の口約束をバカみたいに信じてた。
ずっと、好きだったんだ。
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今日はいつもよりも少し早く家を出た。そのせいか、学校はすごく静かで、人があまりいなかった。
教室に入っていくと、中には優翔がひとりいた。
私は優翔を一瞥してから自分の席に座った。
ほんの少し、目が合った。
「藤田サン」
誰かが私を呼んだ。誰か、いや、分かってる。この教室には、私と君しかいない。
私はほんの少し首を後ろにまわした。
「ねぇ、数学の宿題やった?」
「やりましたけど」
「見せてよ。今日15日だから当たるんだよね」
優翔はこっちに向かって歩いてくる。
そして、私の手からノートを取って席に戻っていった。
