ずっと泣いて、部屋にこもっていた私の前に、いきなり君が現れた。

泣かないで、そう言った。

私は、お母さんもお父さんもいなくなっちゃった。のぞみ、ひとりになっちゃった。と泣いた。

君は、私の手をぎゅっと包むように握った。

ぼくがいるよ。そう言った。

ぼくは、ずっとのぞみちゃんのそばにいるよ。


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「カッコいいよねー、長谷くん」


「夕香、宮内くんが好きなんじゃなかったっけ?」


「それはそれ、これはこれ」


君はこの8年の時を経て、世の中からイケメンと言われるような男の子に成長した。

クラスで一番カッコいい、そう言われるような男の子だ。


「望美、長谷くんと小中一緒なんでしょ?仲良かったりしないの?」


「しないよ」


君と私は、今では話すことはほとんどない。

私は、君を遠くから見てるだけ。


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