「先輩、確かに先ほどの先輩は自分のことしか考えない自己中な奴だったのかもしれません。

でも、あのとき私を助けてくれたのもまた、先輩です。

きっと、人間には誰にも二面性があるんです。先輩は、優しい人です。

さっきの先輩は、あれですよ。先輩の中のほんの一部分です。

私、今までずっと先輩を見てきましたから。間違えないです。

先輩は、千絵先輩のことをとても想ってましたよ。羨ましいほどに。

さっきのは、千絵先輩への想いがつもり積もって爆発してしまったんです。

それに、本当に最低な人は、その考えを最低とも思えない人間のことですよ。

先輩は、優しすぎるくらい、優しい人です」


岸本の胸に顔を埋めながら、俺の顔は涙で濡れていた。


岸本は何も言わず、ずっと俺を抱きしめてくれていた。









朝顔_はかない恋