それでもここに残ってるのは、私には、彼に対する好意がある。ほんの少しだが。


「沢村さんってさ、好きな人とかいる?」


「いない、です」


「じゃあ、その、あのさ、」


彼は少し下に向けていた視線をこちらに向けた。


「ずっと沢村さんのこと好きだったんだ。俺と、付き合ってください!」


私は、はい、と答えた。




夢物語だ。



私はこのとき、一生分の恋愛運を使い果たしたのではないかと思った。

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