コイツは、いつも朝は俺の時間に合わせるし、昼休みはお弁当が食べ終わればすぐに来る。

帰りはすぐに帰ってるようだが。


コイツは、俺のプチストーカーと化している。


そもそも、岸本は顔は悪くない。多分、他の男子に告白されたりも何回かはあるだろう。

それなのに、俺にまとわりつくのをやめない。

俺の気持ちが変わることはない。

俺には、好きな奴がいる。

沢村千絵、俺の隣の隣のクラスで、2組だ。

小学校からずっと一緒で、あんまり目立つ方ではないが、ずっと中学くらいから好きだった。

でも、今、千絵には彼氏がいる。

これが、俺が逆立ちしたって敵いそうもない奴で、岡本樹。

俺は想いを伝えることもなく、失恋をした。


**


「今日も一緒に来てたね」


「あれは一緒に来たって言わねぇの。付いて来たの」


教室では、窓から俺たちを見ていたらしい友人、阿倍秋都はからかい口調で言ってきた。