先輩、好きです。付き合ってください。



彼女はこう言った。



それに俺は、ごめん。と答えたはずだ。



なのに何故か俺は、日々、この後輩である岸本美月につけ回されている。



**


「先輩ー!おはようございます」


「あぁ、おはよ」


自転車で学校に向かってるときだ。後ろから、結構なスピードで迫ってきていた自転車がいた。

別に遅刻しそうな訳でもないのにそんなスピードを出す理由は、ただ単に俺にあいさつするためにらしい。

その証拠に、岸本は俺の隣にくるとスピードを落とした。


「先輩、今日はいつもより早いですね」


「少し早く出たから」


「ですよね。いつもは、私とあの辺で会いますもんね!」


岸本はそう言って少し後ろを指した。


「先輩がすごい前の方にいるから焦りました」


「別に焦らなくていいだろ」


「いえいえ!後輩である私には先輩との数少ない貴重な時間ですから」


「お前、いつも昼休みも来んじゃん」


「それだけじゃ足りないですもん」