キケンな彼氏



「…起きてたのか」


松下くんを横目に見ながらため息を吐くイケメンくん。


「わりぃな。潤(じゅん)と奈津美チャンの会話が面白すぎて、笑い堪えんの大変だった」


「潤…?」


聞き覚えのない名前に小首を傾げると、松下くんが驚いたような顔をした。


「あれ、奈津美チャンと潤は知り合いなのかと思ってたけど…違ったのか?」


「あぁ…自己紹介めんどくせぇから來よろしく」


イケメンくんは松下くんに丸投げして自分の席に戻っていった。


「はぁー…あいつ、倉科 潤(くらしな じゅん)っつって、かなりのめんどくさがりなんだよ」


仕方ないな…とため息を吐きながらも教えてくれる松下くん。なんだかんだ言いながら仲良いんだな。


「そっかぁ、2人は中学同じとかなの?仲良いんだね」


「あぁ、小学校からずっと同じ」


そう言った松下くんの顔は優しくて。少し、潤くんが羨ましいって思ってしまった。


「じゃあ、松下くんと潤くんは腐れ縁だね」


そう言って笑いかけると、松下くんの動きが止まった。


「……」


「…?松下くん?おーい??」


松下くんの顔の前で手を振ってみる。


「…俺は?」


「へ…っ!?」


「なんで俺のことは來って呼んでくれないの?」


さっきから女子の皆さんからの刺さるような視線と、美樹からの温かい眼差しを背後に感じてるんだけど…今、より一層強まった気がする…


とりあえずその、捨てられた仔犬みたいな瞳はやめてぇー!!!


「なぁ、奈津美。來って呼べよ」


いつから呼び捨てに!?


「い、いいいや、松下くん、奈津美なんて呼んでなかったじゃ…ひっ!」


松下くんが立ち上がり、私の目の前まで来た。背が高いから、威圧感が!!!


「來、だろ?ほら言ってみ?」


笑顔が怖いよ!助けて美樹!!!


美樹の方を見ると…にこにこしてる!この状況で!?美樹ってS…?


キーンコーンカーンコーン…


「…チッ。絶対名前でよばせてやるからな、奈津美」


松下くんはそう言い捨てると、教室を後にした。