「奈津美ちゃんって、意外と大胆なのね」
席に座ると、美樹がこちらを振り返りながらクスリと笑って言った。
「ち、違うの!あたしは、遅刻しちゃうと思ったから急いで松下くんを連れてきただけで…!!」
「そっか、仲良しなんだね」
必死の弁明も意味を成さず、美樹は何とも楽しそうに笑っている。
くっそう…こんな愛らしい笑顔で言われたら、まぁいっかってなっちゃうでしょうが!
チラッと隣を見れば、松下くんは机に突っ伏して眠っていた。
大体、この人がサボるなんて言わなければあたしは何の問題も無く教室まで来れてたのに!自分だけスヤスヤと気持ちよさそうに眠るなんて…
そんな恨めしい気持ちを込めて松下くんを睨んでみても、相変わらず美しいお顔で眠り続けている。
「何でこんな整ってんの…?」
松下くんの寝顔を観察中のあたしの口から漏れた呟きは、クラスメイト達の話し声によって掻き消された。
「なぁ」
それにしても、みんな松下くんに興味持ちすぎじゃない?そりゃ、松下くんも疲れちゃうよ。
「おい?」
まあ、今日まで教室に来なかった松下くんも悪いとは思うけどさ…
「來と付き合ってんの?」
「…はぁ!!?ないないない!あり得ないって!」
突然聞こえた不穏なワードに、思いっきり首を横に振る。
「…聞こえてんじゃん」
あたしの隣で呆れたようにため息を吐くのは、松下くんと仲の良い(と思われる)気怠げイケメン。
「あたしに話しかけてると思ってなくて…」
眉を下げ、えへへ…と笑ってみる。
「周り見ろよ、あんたしかいないだろ」
思わず辺りを見渡すあたし。
「美樹がいるよ!」
ここで藤堂選手、渾身のドヤ顔ー!!
「…はっ倒すぞ」
「申し訳ありませんでした」
しかし、イケメンくんには効果なし!寧ろ睨まれてるよ!?
「…ぶっ、くく…っ」
「「!?」」
笑い声がする方を向くと、あたしの隣で肩を震わせ爆笑してる…松下くんが。
