キケンな彼氏

「おはよ、奈津美チャン」


翌朝、遅刻ギリギリに登校すると下駄箱に松下くんがいた。


…今日は迷わなかったんだ。


「おはよう、松下くん。今日は授業出るの?急がないと遅刻だよ」


あたしも遅刻になりそうだから、松下くんにそう告げると急いで上履きを履いた。


「奈津美チャンはサボったことないの?」


不意に松下くんが質問してきたので、振り向いて答える。


「遅刻は何度かしたことあるけど…サボったことはないよ?」


てか、早くしないとまた遅刻しちゃう!!


「ふーん…じゃあ俺とサボろ?」


そう言って松下くんは、あたしに手を差し伸べた。


「…え!?何言ってるの、早く教室行かないと遅刻だってば!冗談言ってる場合じゃないよ!」


あたしはその手を取り、教室まで駆け出した。


「は!?なんで俺が!はぁ、マジかよ…」


後ろで松下くんが何か言ってるけど気にしない!まだクラスに馴染んでない時期に遅刻なんて、印象悪すぎだよ!


__ガラッ!


「あ、藤堂さん…と松下くんもいるのね。仲が良い事は分かったけど、遅刻ギリギリよ〜?」


たまちゃんは、あたしと松下くんを見てニヤニヤしながら言う。


「…?」


仲が良いの意味がわからなかったあたしは松下くんの方を見る。


「…手」


はてなマークを浮かべたあたしを見ると、松下くんはボソッと呟いた。


そういえば、手繋いだままだった!


「ご、ごめん!」


パッと手を離して自分の席に向かう。その途中に視線を感じ顔を上げると、クラスのほぼ全員がこちらに注目…いや、松下くんに注目していた。


「ウソ、めちゃくちゃかっこいい…!」


「あんなかっこいい人クラスにいたの!?」


女子からは黄色い声が上がり、


「あいつ…松下?」


「教室には来ないと思ってた」


男子からは動揺してる様な声が上がる。


_ただ一人、昨日の気怠げな顔の男子だけは、意外そうに目を見開いていた。