キケンな彼氏



反則だよ、これは反則だよ!!


「お、お前…大丈夫か?反則ってなんだ?」


怪訝そうな顔をしてあたしを見るヤンキー君。


はうあ!?心の声が聞こえてた!?


「はぁ?心の声?さっきから一人で何言ってんだお前?」


「へ…?」


えっと…え?あたし今、声に出し…てた?


「今もな」


「うえぇぇぇぇ!?」


軽くパニックになるあたしに対し、ヤンキー君は冷たく一言。


「…うるせぇ」


「すみませんでした」


ヤンキー君に睨まれたあたしは縮こまり、すぐに謝った。


怖い、あたし今蛇に睨まれたカエル状態。


「ぶっ!はははは!!」


すると唐突に、ヤンキー君が笑い出した。


「なっ!なんで笑うんですか!?」


「あっはははっ!ひー、面白ぇなお前。」


「爆笑してるじゃないですか!」


思わず声を大にしてツッコミを入れてしまったあたし。


「くくっ、久しぶりにこんな笑ったわ…お前さ、名前なんつーの?」


…にしても、やっぱり笑うと結構かわい…じゃなくて!


「と、藤堂です」


「そーじゃなくて、下の名前聞いてんの」


「奈津美…ですけど」


あたしの名前なんて知ってどうするんだろ?


「奈津美チャン、ね…覚えとく」


軽く口角を上げてあたしを見つめるその瞳から、しばらく目が離せなかった。