名前にぴったりな綺麗な声ですね!!こんな可愛い子が声かけてくれるなんて…!
「あたしは藤堂 奈津美(とうどう なつみ)。よろしく!」
「奈津美ちゃん?見た目通り、可愛い名前ね」
「可愛い…!?美樹、目…大丈夫?」
「え…?大丈夫よ?」
一瞬動揺した様な美樹だったけど、すぐに笑顔に戻った。
「美樹、あたしの顔が可愛いだなんて、眼科行こう?ね?」
美樹を見つめて訴えると、少し頬を染めた美樹が目を逸らした。
「あの、奈津美ちゃん。私、呼び捨て初めてなの…!」
え…そこ!?
「そーなの!?じゃあ、美樹ちゃんの方がいい?ごめんね、あたし勝手に呼び捨てしちゃって…!」
「ううん!いいの、嬉しい」
そう言ってふんわり笑う美樹は、可愛いというより、美人。
「はーい、HR始めるわよ!席ついて!」
パンっと手を鳴らしながら、女の先生が教室に入ってきた。
ショートカットの茶髪に、入学式だからってそんなに気合いが入ってるわけではない薄いメイク。なんだか活発そうな先生だな〜。
「今日からみんなの担任の、三浦 珠樹(みうら たまき)です!気軽に“たまちゃん”とでも呼んでちょうだい」
たまちゃんはそう言ってにっこりと笑った。
う〜ん、あたし、この先生と仲良くなれそう!
…てか、あたしの隣が空いてるんですが。
たまちゃんの自己紹介を聞きながら、ふと気付いて隣を見た。
そのまま話も終わり、各自解散となったけど、結局最後まで隣は空いたまま。
「…ねえ美樹?あたしの隣って、誰なのかな?」
「さあ…?今日はお休みなのかも」
“お休み”って!可愛いなおい!
はぁ…美樹には、あたしにはない女子力があって羨ましい。
「とりあえず、帰ろ?」
美樹と同じ方向らしく、途中まで一緒に帰った。
と言っても、あたしの方が近いけど。
