遅刻しそうなんだから、早く許して…
「お前…その制服、鷹高(たかこう)か?」
鷹高っていうのは、あたしが今日から通う学校で、鷹司高校(たかつかさこうこう)、通称鷹高。
…でもなんで、この人が知ってるの?
「そ、そうですけど…?」
ビクビクしながらも、無視は出来ずに答える。
「まじか!お前も新一年!?」
急に、パァァって音が聞こえたんじゃないかってくらいの笑顔になった。
「へ!?そ、うですよ…?」
急に笑顔になった男子に動揺して、声が上擦ってしまった。
…ん?あれ、今、『お前も』って言わなかった…?
「俺も鷹高の一年!いやぁ、俺、道迷ってさ〜…一緒に行かね?」
え、え、えぇぇぇ〜!?
「道に!?迷った!?」
ここまで来て!?もう少しで学校だよ!?
「しょーがねーだろ?俺方向音痴なんだからよー」
な、なんだか…最初の怖いって印象が嘘みたい。
よく見ればこの人、すごく整った顔してる。髪は綺麗な金髪に黒のメッシュ。高い鼻はスッとしてて、肌が白い。切れ長な吊り目は怖いって思ってたけど、睨まないで普通にしてればすごくかっこいい。笑顔も可愛いし、実はいい人?
「ふふっ」
「あ"?何笑ってんだよ」
「い、いえ!何でもないです…。い、行きましょう!!」
やっぱり怖い〜…!
その後、無事始まる前には学校に着くことができた。
体育館で眠くなりながらも、なんとか耐えて、入学式も終了。
後は、教室でHRをやれば今日は終わり。
早く帰りたーい!
「ねえ?入学式の時、ウトウトしてたでしょ?」
教室で決められた席に座ると、後ろから声をかけられた。
「えぇ〜?やっぱり、バレた?」
そう言いながら振り向くと、そこにいたのは、真っ黒で艶のあるストレートの長い髪をポニーテールに纏め、くりっとした茶色い瞳に、日焼けというものも知らないような色白い肌をしたお人形さんみたいな女の子。
「私、隣だったからね」
くすくすと、鈴が鳴るような声で笑う。
「あ、私の名前は鈴原 美樹(すずはら みき)。よろしくね」
