elevator_girl

それきり、何も言えなかった。ふたり。


裕子は、私の部屋へ来ない?と深町を誘ったが
そんな気にはなれず、深町はオートバイに乗って
走った。どこをどう走ったか覚えていないが
気づくと、街を見下ろす高台の丘に立っていた。






...また、こんな....。
既視感、と言っても差し支えない程似た状況。
朋恵と諒子は、spiritが似ている。

そして、運命の悪戯で
またしても深町は、身を引かざるを得ない....。










勿論、深町は松之と諒子の間に割って入る、そんな意図は無かった。
しかし、松之はどことなく、その雰囲気の違いを微妙に感じ取り...

「じゃあ、そろそろ...。」と。やや早急に
諒子を図書館へと誘う。


あ、いえ、まだ...楽器の片づけを...と諒子が返す。

深町は、いえ、それには及びません、と
図書館の閉館時刻を考えて、そう言う。


いいえ、でも...と、諒子はそれでも楽器箱を抱えて
手早く片付けを終えた。
案外に実際的な人だな、と深町も、松之も感銘を覚える。
ふつう、こういう場面なら、片付けなどせずに去るだろう。
いや、そうするのが当然なのだ。