深町は、笑っていた学生たちの中に
クワイア・コーラスの子たちを見かけ、手招きをした。
何?ふかまちさん?と、さっきのアニメ声の女の子が来る。
ふたこと、みこと....。伝言をすると、コーラスの子たちは
クラブハウス...大学生協の2階だ..の、方へ消えていった。
深町は、にこにこしながら「ねえ、諒子さん、歌ってみませんか?」
諒子はかぶりをふり、いいえ、私は...と、控えめに。
そんな様子を見て、松之は、なんとなく胸のあたりが暖かくなった。
なにげないそぶり。
それだけで、こんなに幸せな気持ちになれるなんて。
松之は、その感覚に驚いていた。
これが、Destiny....
柄にもなく、そんな事を英語で思い浮かべていた。
クワイア・コーラスの子たちは、手に手に楽器や
何か、帽子のようなものを持ってきた。
それは、コーラス・クラブのステージ衣装の一部のようだった。
深町は、自分のギターを手にすると生き生きとした表情に。
やっぱり、こいつじゃないと....そう、横顔が語っている。
クワイア・コーラスのみんなは、グレイのベレーを被った。
ふわふわとしたストールのようなものを羽織って。
統一されたユニフォームを着ると、皆、ミュージシャンの顔になる。
「さあ、諒子さんもこれを」と、深町が手渡したのは
シャーベット・ホワイトのストール、それに、スカーレットのベレーだった。
ちょっと派手かしら、と諒子が恥ずかしがっていると、
大丈夫、そのくらいなら映えますよ、と
深町がにこにこしながら言う。
静かに、諒子がスカーレットのベレーをかぶる。



