「足穂って、ちょっと不健康な感じもあるんだけど、でも、
世界観が独特なんです。何というか、空間が広い、って言うか....。」
と、松之は、稲垣足穂のことを話した。
諒子は、松之の話を頷きながら聞いている。
「一千一秒物語とか...。」と、松之が言うと
「お、それ知ってるぞ俺、」と、深町は
傍らに置いてあった誰かのアコースティック・ギターを抱えて、一節歌う。
フィル・スペクター・サウンドのようなR&Bに乗せて歌う。
諒子は、にこにこと笑い「深町さんって、歌もお上手なのね」と。
夏名も、感銘したように、黙って聞いていた。
松之も、笑顔で聞いていた。.....が。
「そんな感じの世界観だけど、それ、歌だよね。
これは小説なんだ」と。
深町は、そうか?これだと思ったんだけどー。と
ギターで、ずっこけたSEを弾いた。
みんなで、笑顔になった。
傍らで見ていた学生達も、つられて笑っていた.....。



